禁煙成功への道

周囲の人への影響

タバコの害は、吸っている本人だけのものではありません。実は、周囲の人にまで体に害のある煙を吸わせていることになるのです。それは「副流煙」による受動喫煙が及ぼす健康被害で、現在大きな問題となっています。

副流煙とは、タバコの先から漂う煙のこと。タバコは、吸っていない時は手に持っていたり灰皿に置いていたりするものですが、その間タバコの先からは白い煙が発生しています。実は、この副流煙の中に有害物質がたっぷり含まれているのです。そもそも、喫煙者が吸う部分にはフィルターが付いており、少しでもタバコの有害物質が体内に入り込まないように作られているのですが、実際にタバコの草が燃える先端部分には何のガードもないので、有害物質がそのまま空気中に放出されてしまいます。そうして漂った煙は、喫煙者の周りにいる人が無意識に吸い込んで、非喫煙者の体内まで到達してしまうのです。特に家族が喫煙する場合で、部屋の中で喫煙する習慣がある場合には、その配偶者や子どもたちが受動喫煙をすることになり、喫煙者以上の健康被害を受ける場合もあります。「自分の体なんだから、タバコを吸って病気になるのも自分の勝手だ」という人もいますが、とんでもありません。自分の体どころか、大切な家族や周りの人を病気にしてしまうかもしれないのです。

実際に煙の成分を調べたデータによると、喫煙者が口から吸いこむ主流煙に比べて、副流煙は倍以上の有害物質を含んでいます。ニコチンはもちろん、タールや一酸化炭素などはすべて2~4倍の量が含まれており、発がん性物質と言われるナフチルアミンや、ニトロソアミンにいたっては、40~50倍もの量が検出されています。親がタバコを吸っていると、これだけの有害物質を強制的に子どもに吸わせていることになり、小さなころから受動喫煙を続けてきた子どもの健康は、特に心配されるところです。自分の健康だけではなく、家族の健康を守るためにも、タバコは吸わないに越したことはありません。